貿易と産業の5指標で見る世界の位置
世界銀行のWorld Development Indicatorsから、貿易と産業に関する5つの指標を1枚ずつ順に表示します。各コマには順位の棒グラフ、日本の値と順位、推移の折れ線を並べています。数値・順位・対象国数はいずれも出典データそのままです。
| 輸出(対GDP比) | 141 | 日本の輸出(対GDP比)は22.769%で192か国中141位 |
| 輸入(対GDP比) | 161 | 日本の輸入(対GDP比)は23.638%で192か国中161位 |
| 製造業付加価値(対GDP比) | 17 | 日本の製造業付加価値(対GDP比)は20.581%で203か国中17位 |
| 対内直接投資 | 25 | 日本の対内直接投資(純流入)は約161.6億ドルで204か国中25位 |
| ハイテク製品の輸出比率 | 44 | 日本のハイテク製品の輸出比率は17.5547%で186か国中44位 |
各コマは日本がその指標のどのあたりに位置するかを見るためのもので、コマ内での比較にとどめてください。単位(%とUSD)も対象国数(186〜204か国)も指標ごとに異なるため、コマ同士で値や順位を直接くらべることはできません。
要点
日本は「貿易と産業」の5つの指標で、位置がはっきり分かれる国です。最も目立つのは製造業付加価値(対GDP比)の20.581%で、203か国中17位、世界値14.9944%を約5.6ポイント上回ります。一方で輸出(対GDP比)は22.769%で192か国中141位、輸入は23.638%で161位と、いずれも世界値(29.1076%、28.1834%)を下回ります。ハイテク製品の輸出比率も17.5547%で186か国中44位にとどまり、世界値24.7589%より低い水準です。
出典: World Bank「World Development Indicators」(Exports of goods and services (% of GDP) / Imports of goods and services (% of GDP) / Manufacturing, value added (% of GDP) / High-technology exports (% of manufactured exports))
中心指標の最新値
先頭の指標である輸出(対GDP比)を見ると、日本の2024年の値は22.769%で、192か国中141位です。世界値の29.1076%を約6.3ポイント下回っています。輸入(対GDP比)も23.638%で192か国中161位、世界値28.1834%より低く、輸出よりさらに下の位置にあります。輸出・輸入とも、対GDP比という尺度では対象国の中で下寄りに位置していることになります。
出典: World Bank「World Development Indicators」(Exports of goods and services (% of GDP) / Imports of goods and services (% of GDP))
上位と下位の顔ぶれ
輸出(対GDP比)の上位はルクセンブルク191.533%、サンマリノ185.9928%、香港181.7913%、シンガポール178.7763%、アイルランド143.9846%と続きます。経済規模が小さく、中継貿易や再輸出の比重が大きい国・地域が並ぶ傾向がうかがえます。下位はスーダン0.7209%、ハイチ3.4008%、エチオピア5.5393%、キリバス5.9202%などで、低所得国や情勢の厳しい国が目立ちます。日本の22.769%(141位)は中位より下寄りで、中国20.0229%(151位)やアメリカ11.1075%(177位)といった国内経済の大きい国が並ぶ層に近い位置です。
製造業付加価値(対GDP比)では顔ぶれが変わります。上位はプエルトリコ44.1443%、リヒテンシュタイン34.1726%、サンマリノ31.7668%、アイルランド29.565%で、韓国26.618%が7位、中国24.8692%が9位に入ります。下位はバミューダ0.3311%、タークス・カイコス諸島0.447%、マカオ0.7613%、香港0.9344%など、製造業の比重が小さい経済です。日本は20.581%で203か国中17位と、上位寄りに位置します。
出典: World Bank「World Development Indicators」(Exports of goods and services (% of GDP) / Manufacturing, value added (% of GDP))
この10年でどう変わったか
輸出(対GDP比)は2013年の15.7842%から2024年の22.769%へ、約7.0ポイント上昇しました。2020年の15.5332%が期間中の底で、そこから2021年18.1092%、2022年21.5464%、2023年21.8516%、2024年22.769%と4年続けて上がっています。ただしこれは名目値の比率であり、上昇の要因を数量の増加だけに結び付けることはできません。
輸入(対GDP比)は2013年18.1946%から2024年23.638%へ上昇していますが、2022年の25.2666%がピークで、2023年23.2993%、2024年23.638%とその後はやや低い水準にあります。
対内直接投資(純流入)は2020年の約625.8億ドルから2024年の約161.6億ドルへ大きく減っています。2022年は約481.5億ドル、2023年は約199.8億ドルで、年による振れが非常に大きい指標です。
製造業付加価値(対GDP比)は、データのある2012年から2023年の期間で19.329%〜20.7796%の範囲に収まり、ほぼ横ばいで推移しています。ハイテク製品の輸出比率も2013年以降17.0304%〜18.6333%の幅にとどまり、大きな方向性の変化は見られません。
出典: World Bank「World Development Indicators」(Exports of goods and services (% of GDP) / Imports of goods and services (% of GDP) / Foreign direct investment, net inflows (BoP, current US$) / Manufacturing, value added (% of GDP) / High-technology exports (% of manufactured exports))
近い国とくらべる
輸出(対GDP比)では、韓国44.3582%(68位)とドイツ41.4341%(84位)が日本22.769%の約1.8〜1.9倍にあたります。フランス33.8898%(103位)、英国30.9842%(115位)も日本を上回ります。一方で日本は中国20.0229%(151位)よりやや高く、アメリカ11.1075%(177位)の約2倍です。輸入(対GDP比)でも韓国40.2843%、ドイツ37.6567%、フランス34.2184%、英国31.856%が日本23.638%を上回り、中国17.1755%、アメリカ14.2712%は下回ります。
製造業付加価値(対GDP比)では順序が入れ替わります。日本20.581%(17位)はドイツ18.0067%(28位)、アメリカ10.7104%(94位)、フランス9.5665%(109位)、英国7.985%(130位)を上回る一方、韓国26.618%(7位)と中国24.8692%(9位)には届きません。
ハイテク製品の輸出比率17.5547%(44位)は、ここに挙げた7か国の中で最も低い値です。韓国36.2583%(14位)とは約18.7ポイントの差があり、英国29.2333%(19位)、中国26.2777%(22位)、アメリカ24.323%(25位)、フランス23.1371%(28位)も上回っています。ドイツ17.9773%(41位)とはほぼ同じ水準です。
対内直接投資(純流入)は日本が約161.6億ドルで204か国中25位です。1位のアメリカ約2970.6億ドルの約18分の1にあたる一方、中国約185.6億ドル(23位)や韓国約128.6億ドル(33位)とは近い規模です。ドイツ約476.0億ドル(10位)、フランス約520.5億ドル(9位)は日本を上回り、英国は約-129.6億ドル(198位)とマイナスになっています。
出典: World Bank「World Development Indicators」(Exports of goods and services (% of GDP) / Imports of goods and services (% of GDP) / Manufacturing, value added (% of GDP) / High-technology exports (% of manufactured exports) / Foreign direct investment, net inflows (BoP, current US$))
この数字の読み方
対GDP比の指標は分母である経済規模に左右されます。ルクセンブルクや香港、シンガポールのように経済規模が小さく中継貿易・再輸出の多い国・地域は比率が高く出やすく、この順位は輸出額そのものの大きさを表すものではありません。国内経済が大きい国は、貿易額が大きくても比率としては低くなりうる点に注意が必要です。
対内直接投資は国際収支ベースの純流入額です。資金の引き揚げがあればマイナスにもなり、実際にスイス約-1084.0億ドル(204位)、リヒテンシュタイン約-872.1億ドル(203位)、英国約-129.6億ドル(198位)が下位に並んでいます。年による振れが大きく、単年の増減だけで投資環境を評価することはできません。米ドル建てのため為替の影響も受けます。
ハイテク製品の輸出比率は製造業輸出に占める割合であり、輸出額の規模や技術水準そのものを示す指標ではありません。ケイマン諸島85.5232%やサモア76.6701%のように輸出構成が特殊な地域が上位に来るため、この順位を技術力の序列として読むことは適当ではありません。品目分類の運用が国により異なる可能性もあります。
いずれも出典は世界銀行のWorld Development Indicators(WDI)で、年次で更新され、過去にさかのぼって改定されることがあります。指標により対象国数は186〜204か国と異なり、集計の対象となる最新年も同じとは限りません。製造業付加価値の日本の推移データは2012年〜2023年の系列である点も、他の指標と比べる際には踏まえておく必要があります。数値の解釈にあたっては、これらの前提を含めて幅を持って見ることが求められます。
出典: World Bank「World Development Indicators」(Exports of goods and services (% of GDP) / Imports of goods and services (% of GDP) / Manufacturing, value added (% of GDP) / Foreign direct investment, net inflows (BoP, current US$) / High-technology exports (% of manufactured exports))
輸出(対GDP比)を地図とグラフで見る
上位はルクセンブルク191.533%、サンマリノ185.9928%、香港181.7913%など小規模・中継貿易型の経済が並び、下位はスーダン0.7209%、ハイチ3.4008%が最下層です。日本22.769%は中位より下寄りに位置します。
推移は2020年の15.5332%を底に2024年22.769%まで4年連続で上昇しています。棒グラフでは上位と下位の開きが大きく、最上位と最下位で200倍以上の差があります。
国を選んでくらべる
輸入(対GDP比)
上位は香港177.7154%、ルクセンブルク159.735%、サンマリノ154.9906%で、下位にはスーダン1.2745%、ベネズエラ9.2213%のほか中国17.1755%やアメリカ14.2712%も入ります。日本23.638%は下位寄りの層です。
推移は2022年の25.2666%がピークで、2023年23.2993%、2024年23.638%とその後は横ばい圏です。大国が下位に並ぶため、順位の並びは輸入額の大小とは一致しません。
製造業付加価値(対GDP比)
上位はプエルトリコ44.1443%、リヒテンシュタイン34.1726%に加え韓国26.618%(7位)、中国24.8692%(9位)。下位はバミューダ0.3311%や香港0.9344%など製造業の比重が小さい経済です。日本は上位寄りに位置します。
日本の推移は2012年〜2023年で19.329%〜20.7796%の幅に収まり、ほぼ横ばいです。上位と下位の差は大きく、産業構成の違いがそのまま比率の開きに表れています。
対内直接投資
上位はアメリカ約2970.6億ドル、シンガポール約1350.8億ドル、香港約1258.2億ドル。下位はスイス約-1084.0億ドル、リヒテンシュタイン約-872.1億ドルとマイナスで、英国約-129.6億ドルも下位側です。
日本の推移は2020年の約625.8億ドルから2024年の約161.6億ドルへ減っていますが、年ごとの振れが大きい系列です。他の4指標と違い単位が米ドルのため、比率の指標とは比べられません。
ハイテク製品の輸出比率
上位はケイマン諸島85.5232%、サモア76.6701%、香港75.5707%と輸出構成の特殊な地域が並びます。下位はマカオ0.0%、バハマ0.0%など。日本17.5547%はドイツ17.9773%(41位)とほぼ同水準です。
推移は2013年以降17.0304%〜18.6333%の幅で横ばいです。韓国36.2583%(14位)や英国29.2333%(19位)との差は大きく、主要国の中では低い部類に入ります。